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花-
キャッシング
ただ 安らげる場所と
信用できる仲間が欲しかっただけ。
金も権力も地位も
こんな世の中の何の糧になるっていうんだ。
俺が望んだものは
そんなモンじゃない。
■■■再生の朝■■■
第四話:「この世界に望んだモノ」
一年半前。
俺は「ZERO」の最高司令官という立場にいた。
金。
権力。
女。
求めるモノは何でも与えられた。
時には最高司令官として、
時には「ZERO」機密プロジェクトの司令官として、
そして、またある時には「ZERO」を引き連れて民衆から金を奪い上げたこともあった。
しかし、その時の俺は自分の家に帰ることしか本部から出ることを許されなかった。
欲しいモノを買ってくるのも、手に入れてくるのも全ては部下がやること。
機密プロジェクトと最高司令官という名と共に付いてくる山ほどある仕事に追われて
俺は、本部に缶詰状態だった。
本部から出ようとすると、必ずその時には部下が付いてくる。
唯一「ZERO」に囚われずに「タケオ」で居られるのは自分の家で、キリトと居る時間だけだった。
でも、そんなことを除いてしまえば今の俺の生活は
何不自由ない生活。と、言うものだった。
そんな俺が
望めば何でも手に入った自分の立場に嫌気がさしたのは
アノ時からだった。
『 なぁ 自由ってなんだろう 』
「え?」
自由。
キリトにそう言われて、何も答えることが出来なかった俺。
そしてそのあと考えた。
今の俺の立場に『自由』はあるのだろうか、と。
確かに与えられたものは全てであって、必要なモノは何でも手に入れてきた。
でも
今の俺に許された『自由』な時間は家に居るホンの数時間。
それ以外の時間は全て、「ZERO」のために費やされる現状。
そんな俺の今の立場に『自由』はあるのだろうか。
『自由?そんなもの今のお前に必要ないだろう?』
Kにはそういわれた。
『お前は「ZERO」のためにその能力を費やしてくれればそれでいいんだ。何が不満なんだ?金か?女か?』
違う。
金だって、女だって、権力だって。
そんなモノを手に入れることが『自由』じゃない。
『なぁタケオ・・・・少なくとも・・・俺は自由になりたいよ・・・』
俺だって
自由が欲しい。
何にも囚われないで、『自由』に生きていきたい。
キリトと一緒に・・・仲間と一緒に。
「ZERO」に『自由』はあるんだろうか。
「最高司令官」その恵まれた環境と地位に、『自由』はあるんだろうか。
死んでしまったこのTokyoに、『自由』は存在するのだろうか。
***
『K。俺・・・辞めるわ』
「ZERO」の最高司令官という地位を捨てた俺は、すぐに家に戻った。
そしてキリトを抱きしめた。
俺が望んだモノは「ZERO」には無かった。
そもそも俺が「ZERO」に入ったのは、もしかしたら『自由』を探していたからかもしれない。
最高司令官の地位を捨てた時に、全く悔いは無かった。未練も無かった。
そこに『自由』が無いのなら 何時までもそこにいたって仕方ない。
だから俺は「ZERO」を捨てた。
自分の『自由』を探すために。
今のTokyoにあるものは『願望』と『絶望』。
死んでしまう前のTokyo復活を夢見るホンの少数の人々の『願望』。
死んでしまったTokyoに未練を捨てて何もかもを諦めてしまった人々の『絶望』。
こんな世界に『自由』なんてモノは存在するのだろうか。
俺の探している『自由』はどこにあるのだろう。
例えもし、Tokyoに『自由』なんてない。と
誰かが言ったとしても
自分のこの目でみた真実だけを信じていこうと思う。
『自由』を見つけることを諦めないで、信じて探そうと思う。
こんな願いを神様は聞いてくれるだろうか。
まだ死んでしまったこのTokyoに神様はいるだろうか。
『朝』が来ること。
『仲間』を助けること。
そして『自由』を探すこと。
俺はこのTokyoに自分の全てを賭けてみようと決めた。
だからもう少しだけ、俺に時間をください。
あとほんの少しの時間を。
■一言■
4話目に突入しました。
今回はタケオさんが「ZERO」を辞めた理由とかそういうのを書いてみました。
本当はもっと色々事情があるんですが、大きな理由としてはこんな感じです。
さぁまだまだ続くぞー!
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