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泣きたくなれば 泣けばいい
欲しいものがあるのなら どんな手を使ってでも手に入れればいい
死にたくないのなら
死ななければいいだけの話
それが答えだと言うのなら
死なないで生きてやろうじゃないか
何百年でも。
再生の朝
第十二話:「好きの理由」
「タケオくんはー、お兄ぃのどこが好きなの?」
「え?」
真剣な顔をして俺を見るコータ。
潤との話の後、俺はリビングに戻り
何事もなかったようにテーブルに着いた。
食事の後、皆でちょっとした賭け事をしたり
今までのことを話し合ったりして
時間はあっと言う間に過ぎた。
時計の針が夜中の2時を刺した頃。
眠れないでいる俺の部屋に、コータがやってきた。
マクラを抱えて
「話がしたくて」と部屋に入ってくる。
横にいるキリトは、疲れているのかぐっすり夢に落ちていて
朝まで起きそうになかったら 「いいよ」と返事を返した。
小さなイス2つでテーブルを囲んで、冷たい水を胃に流し込むと
更に目が覚めた。
その間もコータは俺を凝視している。
マクラを抱えて。
「どうしたんだよ。寝れないのか弟くん」
「からかってるの?」
「冗談だよ」
冗談交じりの会話を一言二言交わした後
濃い沈黙を破ってコータは言った。
「タケオくんはー、お兄ぃのどこが好きなの?」
不意打ちだった。
今まで聞かれたことのなかった言葉。
自分でも考えたことがなかったことだけに
返事に戸惑う。
「どこって・・・」
「顔?」
いや顔とかそんな外面的な問題じゃなくて
突然どこが好きかと聞かれても
答えようが無い。
「じゃあ・・・コータはお兄ぃちゃんのどこが好きなの?」
逆に問い返すことが精一杯だった。
「えーっと・・・俺はー・・・って、俺がタケオくんに聞いてるんだけど?」
「どこって言われてもさ・・・・そうだなぁ・・・」
「じゃあその質問は後ね、もう一個」
「崖から落ちそうな、俺とお兄ぃが居ます。どちらか一人しか助けられません」
この系統の質問は嫌いんだけどな。
「タケオくんなら、俺とお兄ぃ・・・どっちを助けますか?」
「さぁね」
「それじゃ答えになってないよ」
「んなこと言われてもさー・・・」
どっちを助けますか?
この系統の質問は嫌いだ。
それで例えば俺がキリトと言ったからと言って、どうなるっていうんだ。
本当にそのとき俺がキリトを助けるかなんて、そのときになってみなきゃ分からない。
もしかしたら、助けられない状態かもしれないじゃないか。
その程度の質問なんて
意味が無い。
「じゃあもう一個だけっ」
「はいどうぞ」
「大事なモノが手元に二つあります。でも二つは持ってはいけません」
またかよ
「タケオくんなら、その大事なモノのどちらを捨てますか?」
「コータ?何が言いたいの?」
潤といい、コータといい。
一体誰に入れ知恵されたのか、俺をいらつかせるのが
好きらしい。
本気でイライラさせようとしているんじゃなくて
俺が本気で答えるように仕向けているんだろうけど。
本当不器用だよ、2人とも。
「タケオくんの本音が聞きたいの」
「俺はいつでも本音で喋ってるよ?」
「嘘吐き」
そしてまた、コータも潤と同じ顔をする。
「どうしてコータも潤も俺に本音を言わせたがるのかなぁ・・・」
「タケオくんが俺達を欺こうとするからだよ」
「欺いてねぇよ。我慢してるだけ」
「俺達には欺いてるように見えるから、聞いてるんでしょ?」
長い間一緒に生活していた潤に似たのか
それとも、兄弟の血を引いてキリトに似たのか
痛いところをついてくるのは、コータも同じ。
アイジも同じだったら
いい加減気がふれるよ、俺も。
「一個目の質問・・・なんだっけ」
「『タケオくんはー、お兄ぃのどこが好きなの?』」
「全部」
「『俺とお兄ぃ、どちらを助けますか?』」
「2人とも」
「『二つある大事なもののどちらを捨てますか?』」
「どっちも捨てない」
「これで満足?」
「満足」
ニッ
と満足げに笑顔を浮かべたコータは
イスから立つと、キリトの横に持参したマクラを並べて
ベッドに横になった
っかそこ俺の寝るとこ・・・
「話聞いてたんでしょ?お兄ぃ」
え?
コータが、寝ているハズのキリトに声をかけた。
「・・・聞いてたよ」
寝ていたと思っていたキリトが、ゆっくりと体を起こして
俺に目をやる。
その顔は、何だかほんのり赤く色づいていて
やけに色っぽくて
「聞いて・・・たの?」
「途中からだけどな」
人が悪いよキリトも。
起きてたなら、それなりの反応してくれたらよかったのに。
「人が悪いねっお兄ぃも」
ニタニタと
嬉しそうにコータがそういうと、キリトは
「ばーか」っと更に頬を赤らめた。
聞かれて困るようなことは言ってないけど・・・
ちょっと照れるかな。
キリトに面と向かってそんなこと言った事なかったし。
今更だけどね?
ダブルベッドに大人の男3人で横になった。
真ん中にキリトを挟んで。
きつきつのベッドの上で
その後もたわいも無い話を続けて
今度はキリトがちゃんと眠っていることを確認して
サイドテーブルの煙草に火をつけた。
そのとき
俺の携帯が鳴った。
「非通知」
■一言■
というわけで12話です。
なんだこりゃー。前のサイトにあったのをそのまま持ってきてるだけに
表現とか書き方が古いんで恥ずかしいー!!!
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