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俺が何より大切にしたかったのは
金でも 権力でも 女でもない
たった一つの安らげる場所。
その場所に
コイツらがいてくれれば
それだけで良かった。
■■■再生の朝■■■
第七話:「罪と罰」
「ZEROに戻ってきてくれ」
「マスターの力が必要なんです」
「何時まで強情張るつもりですか!?」
そんな3人の声を断ち切ってまで俺が求めたもの。
それは自由。
ここに居た時何時も願った。
自由になりたいと。
金
権力
女
それを自由に網羅して、何不自由ない生活をしてきた俺が
今更自由を求めようなんて
それは罪なことなのだろうか。
「どうしても…無理だというのか…?」
「あぁ…俺はここにはいられない」
「そうか…」
全てに失望したような表情で、立ち上がりおぼつかない足で部屋を出て行くK。
当たり前だ。
何年もかけてやってきた研究が、これ以上進まなくなる。
レイだけでは進まないことぐらい
俺にだって理解できた。
でも
それでも俺は 自由が欲しかった。
アイツらと過ごす日々を選んだんだ。
今更後戻りなんて出来ない。
「マスター…」
「レイ…御免な…プロジェクト、進行できなくなって…」
俺の手を取り、レイは首を横に振った。
「マスターが決めたことですから…仕方ありませんわ」
レイの言葉に少し救われたような気がした。
そこへ、先ほど出て行ったKが戻ってきた。
しかし戻ってきたKは一人ではなかった。
ドサっっ!!!
「潤!!コータ!!!」
床に無造作に放り投げられた2人の体。
意識はないが息はしている。
何年ぶりかに見るその2人の顔には、沢山のキズがあった。
よく見ると腕にも沢山の切りキズや焼きキズ。
両手首は後ろ手に鎖で雁字搦めにされ、相当もがいたのか手首から乾いた血が流れている。
「K…このキズは…」
「ちょっと拷問にかけただけだ。」
「何…?」
「お前の居場所や近状、その他諸々を聞きだそうとしたが一切口を開こうとしなかった。」
「それで…拷問にかけたっていうのか…?」
「仕方あるまい。恨むならコイツらを恨めよ。口を割らないコイツらが悪いんだ」
「2人に何を聞きたかったんだ?拷問にかけることはなかっただろう?!」
「そう感情的になるな。元はと言えばお前がZEROを出て行ったのが悪いんだからな」
「俺の何が知りたかったんだって聞いてるんだ。」
「…聞きたいことは山ほどあったさ。お前がZEROを出て行った理由もそうだ。
だが、俺が聞きたかったのはそれだけじゃない。お前と一緒にいるキリトのことだ」
Kが口にした言葉に耳を疑う。
「キリト…だと?」
「ああ」
「キリトに何の関係があるっていうんだ?アイツは関係ないだろ!?」
「関係あるから、コイツらをここへ連れてきたんだが?」
その一言で 俺は全てを確信した。
そういうことか。
「そう…いうことか…。潤とコータと…アイジのところへ押しかけて、アイジ以外の2人を拉致して
ここへ連れてきたのも…そういうことだったのか…」
「頭のいいお前の事だ。いつか自分で気がつくと思っていたよ」
「潤とコータの2人をアイジの前で撃ち、恐怖感を植え付け俺のところへよこした。
そして俺をここへ来させた。アイジの性格からして2人を目の前で撃たれて平然といられるわけがない。
それを利用して、2人を撃った…。考えどおりアイジは助けを求めに俺のところへ来た…。
仲間が撃たれて、しかもその撃った相手がZEROとなれば俺が動かない理由がない」
「そういうことだ。全てはお前をここへ来させるため。キリトの情報を得るためにしたことだ」
どうりでおかしいと思ったんだ。
金を払ったのに撃たれただとか…
しかもそこで3人共を撃たず、潤とコータだけを撃っただとか…
「キリトの情報を得る理由はなんだ?」
「さぁなぁ。お前はプロジェクトへ戻ることを断った。もうZEROの人間ではない。
関係の無い者に機密プロジェクトを口外するわけにはいかなくてね」
「ハッ。だったら力ずくでも聞きだしてみせるさ」
「武器もないお前にどうやって?」
話を進めていくうちに、部屋にリダとレイの姿は消えていた。
多分潤とコータと入れ違いに出て行ったのだろう。
Kは懐から1丁の拳銃を取り出し、銃口を俺に向ける。
Kの昔からの悪い癖。
いい加減教えてやればよかったな。
コイツの悪い癖。
「お前まだ治ってないみたいだな。」
「?」
「誰が武器持ってないって言った?」
早とちり。
パンパンパンパンパンパンパンっっっっ!!!!!!!
乾いた音のあとに、床に響く空玉のキンキンっという金属音。
続いて響いたのは重たい塊が床に落ちるニブい音。
「うあ゛ぁぁぁあああぁぁぁあぁぁぁあっっ!!!!!」
「腕の1本で済んでよかったな、K」
床に落ちたのはKの右腕。
肩の関節から下が、銃口を握ったまま無残にも肉の塊になっていた。
それからはまだ生きている。
と、自己主張するかのようにビクビクと動脈を打っているのがわかる。
俺が懐から出した銃は愛用のコルトパイソン。
威力はすでに立証済み。
ボディは小さいなりに威力は負けずとも劣らずの優れモノ。
その銃口から飛び出す鉛球を、Kの肩から腕に続く関節の同じ場所に何発も打ち込んだ。
その結果、打ち込まれた傷口から皮が剥がれ落ち腕の重さに耐えられず床に落ちた。
それだけのこと。
あまりの激痛に顔を歪ませ、床に膝をついて声を上げるK。
「腕がっ!!腕があぁぁあぁぁぁぁっっ!!!」
「早とちりするからだ。俺がここに来るのに武器を持たないなんてありえない話だろ?」
「大体今のこの狂った世の中で、自分の身を守れるのは自分しかないんだ…」
そういい残して、俺は潤とコータを担ぎZERO本部を後にした。
家に戻ろう。
キリトが待ってる。
アイジが待ってる。
拷問したKが許せなかった。
関係ないこの2人にこんなこと。
だからヤツの腕を落とした。
でも
傍から見れば、俺のしたことだって立派な拷問。
それが世間一般の罪だと分かっていても。
罰を受けろというなら
受けるさ。
どんな罰でも。
それでコイツらと自由になれるなら
どんな罰でも受けてみせる。
俺にとって
自由とコイツらは同じぐらいかけがえの無いものだから。
■一言■
再生の朝第七話目!もうなんだこりゃの一言(苦笑)
とりあえずここでやっとこさ潤と康太救出!!!
全員揃うのにどれだけかかるんだっちゅーの(苦笑)
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