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ドコに行きたいかと聞いたら。
ショッピングモールと云われた。
■■■クリスマス大作戦 U■■■
クリスマス当日。12月25日。
俺とあーたは車で少し走らせた所にある
港に面した巨大ショッピングモールにやってきた。
ショッピングモール内もすっかりクリスマス一色。
緑とか赤とか白だとか銀だとか。
綺麗に飾りつけされた店内。
それを見て歩く手を繋いだり腕を組んだりしているカップルが
何度も俺たちとすれ違う。
俺たちは勿論、手を繋ぐワケもなくて腕すら組んでもいなかった。
「あーた何か欲しいものあったの?」
「んー。別に」
「じゃあ何でショッピングモール?人多いだけじゃん」
「何となく」
「どうせならもっとイイトコあったのにー」
「良いんだよ別に。お前と居られるならどこだって」
「さようですか」
日はすっかり暮れていた。
時計の短針は8時を指している。
それでも人は減るどころか増える一方で。
何でだ!
「何か人多くない?」
「ツリーのイルミネーションがあるんだって。9時から点灯式だとか何とか・・」
「へぇー。それで人多いんだ?」
「・・・・・・なぁ潤。港の方行きたい」
「港?寒いのに?」
「そお」
「まぁ別に構わないけど・・・」
どうやら港に面した所に立っているツリーに9時から点灯式があるらしい。
それでさっきから人が増えるんだ。
人多いのやだなーと思っていると、キリトが港に出たいと云いだし
人の多い上に寒いところになんで?!
と思ったけど・・・まぁあーたが行きたいっていうんだし仕方なく港に出る事にした。
港にはまだ思ったよりも人は少なくて、ツリーの裏側とかには全然人が居なかった。
でも港だけに直に風が吹き荒れててすんごい寒い。
「ねぇキリトー!寒いからやっぱ中入ろうよー」
港をぼーっと見つめていたキリトは俺より何メートルか先に居た。
時間は8時半になっていた。
「なぁ潤。鬼ごっこしようか」
「はぁ?!鬼ごっこ!?このクソ寒いのに何云ってるんですかあーた!!」
「ルールは簡単!俺を9時までに捕まえる事が出来たらお前の勝ちだ!」
「だーから俺はやらないってば!」
「捕まえてくれなかったら別れるからなー!」
「何を勝手に!(笑)」
突然何を云い出すかと思えば、このクソ寒い中で鬼ごっこだって。
9時のツリー点灯までにキリトを捕まえないと別れるとか。
何を勝手に行ってくれてんですか(苦笑)
しかも俺が鬼って・・・・・
「探す場所はこの港だけだからな!目つむって10秒数えろー!」
「あーた悪ふざけもいい加減にしてってば!俺寒いんだけど!」
「いいかー!逃げるから捕まえろよ!」
「無視かい・・・(苦笑)わーかった!数えればいいんでしょー!」
どうやら止めても聞きそうになかった。
一度云いだしたらほんっとう梃子でも動かない人なんだから・・。
でもキリトの云うように、9時までに捕まえられないと別れるとかどうとか云ってるし。
折角のクリスマスなのに機嫌悪くさせんのも嫌だし。
とりあえず捕まえる事にした。
「いーちっ!にーいっ!さーんっ!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はーちっ!きゅーうっ!じゅうっ!!!」
云われたように目をつむって10秒。
目を開けるとそこにはキリトは居なかった。
辺りを見回しても・・・・それらしい姿が無い。
「キリトー!?どこ行ったのー!?」
まぁそれを探すのが鬼ごっこなんだけどさ。
そんなわけで早速キリト探し開始。
ツリーの裏側には見たところ居ない。
となればツリーの正面だ。
俺は走ってツリーの正面に向かった。
そこには少しの間に人が増えていて、今か今かと点灯を待つ人で一杯だった。
しまった。
これじゃどこにキリトが居るのか判らない。
そうだ時間!
ふと腕時計に目をやると、8時45分。
「嘘!もう15分しかないじゃん!!・・・ったく・・どこ行ったんだよ」
さすがに後15分でこの中を探すのは難しい。
でも見つけられないと後が怖い。
俺はとりあえず見晴らしのいいところに行こうと思い、
階段を駆け上がり、ツリーとツリー前が一望できるテラスに上がった。
そこからツリー前を見渡す。
どこだ。どこに行ったんだよ。
しかし見渡せど見渡せどどこにもキリトらしい姿は無かった。
時間は
あと10分。
テラスから降りて、もう一度ツリー正面に戻る。
カップル同士が手を繋いだり、腕を組んでいる所為で中々先に進めない。
「あのっ・・すいませんっ・・」
その人ごみは段々数を増して、もはや身動きすら取れないぐらいの人だかりになった。
時間は
あと5分。
「ヤバイっ・・・あと5分しかないじゃん!どこ行ったんだよー・・・・」
本当に見つからないと思い始めた時、携帯が鳴った。
コートのポケットから携帯を取り出すと液晶にキリトの文字。
慌てて電話に出る。
「あーたっ・・あーた今どこに!」
『偉くうろたえてんのなー』
「冗談っ・・あーたが別れるとか云うからじゃないですか!」
『そんなに俺と別れたくない?』
「クリスマスには御免っ」
『俺も御免だよ。見つけてよ潤』
「だから必死に今も探してるっつーの」
キリトと電話で会話しつつも俺は探し続ける。
正面を走り回るがどこにも姿は無い。
『見つけてくれないとーホントに別れるからな』
「あーたどこにいるんだよ!」
『さっきんとこ』
「えっ・・?」
『さっきんとこだよ』
それだけ云って電話は切れた。
さっきんとこ・・・?
ツリーの裏側か!?
俺は走ってツリーの裏側へ回る。
あと・・・1分・・・
ツリーの裏側に走りつくと、そこには段差にちょこんと腰をかけて座っているあーたの姿。
見つけた・・・・。
俺は走ってキリトの前に向かう。
その距離は20mぐらいだろうか。
必死に走って走って
あと少しであーたに手が届く所で
ツリーに光が灯った。
「キリッ・・・ト」
「ぶー。時間切れ」
「・・・はぁっ・・・・」
「何だよ。9時までに見つけてくれって約束したのに」
「見つけたよ!9時1分前に・・・でも見つけたけど・・・届かなかった」
「ふぅ。いいよ許してやる」
「そりゃ・・・有難う」
荒い息を整えながらキリトの横に腰掛ける。
あー・・・寒いの吹っ飛んだ。
「じゃあコレどうぞ」
そう云って、俺の手にキリトは小さなツリーの置物を置いた。
緑のツリーに綺麗に雪のフェイクの粉がかぶせてあって、
てっぺんには星がついてる。
ガラスの箱に入っているそれは後ろのでっかいツリーの光に彩られて
更に鮮やかに見えた。
「これ・・・」
「クリスマスプレゼント」
「あーたが・・?」
「そう。お前が探してる間に買いに行った」
「えっ!?ってことは・・そのためにわざわざ鬼ごっこを・・・」
「そう。だってさ、プレゼントは渡されてからのお楽しみなんだぞ。中身知ってちゃ楽しみがなくなるじゃん」
「・・・・ははっ」
「大体お前は港だけ探してたけど、俺はショッピングモールに居たからな。見つかるわけが無いんだけどな」
「あーたが港だけって云ったんでしょーが!」
「そうだっけ?」
ちっこいツリーを二人の間に置いて、手を繋いだ。
人は、居なかった。
皆後ろのでっかいツリーに夢中だったから。
「で、コレは参加賞」
「え?」
そう云ってほっぺたにキス。
軽く触れただけの唇は、やんわり温かだった。
「参加賞のが嬉しいって?」
ニヤニヤと得意げな表情を浮かべながら、キリトは俺を覗き込む。
うあ・・・あーたからのキスなんて・・・信じられない。
「やってよかっただろ?鬼ごっこ」
「良かったけどさー・・・疲れますよコレ」
「ふぅん。じゃあ今度はかくれんぼにしようかっ」
「ぅえ?!」
そう云うと、キリトは手を離しすくっと立ち上がった。
まさかと思うけど・・・・
「今度はかくれんぼなー!」
「えぇっ!?ちょっちょっと待ってよ!!」
「待たないー!10数えろ!」
「いい加減にしてよあーた!俺もう疲れてんだけどー!」
「今度はそうだなー・・・。捕まえられたら、エッチさせてやるよ!」
「ひゃあっ!そんなデカイ声で云わないのー!」
「かくれんぼの達人をナメんなよー!数えろー!」
そうしてまた強制的にかくれんぼをするハメになった俺。
制限時間30分で、俺は結局キリトを見つける事が出来なかった。
それもそのハズ。
キリトは駐車場まで戻って、車の中に居たんだから。
判るわけないっつーの!!!
結局エッチさせて貰えたかどうかって?
それはまた別のお話。
■一言■
玲凪様より300HITリクエストで、「クリスマスデートで潤キリ」でした。
リクエストにお答え出切る様なお話になっていますでしょうか?(汗)
でも書いててこれは凄く楽しかったです^^
リクエスト有難う御座いました☆玲凪様に限りお持ち帰り自由です☆
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