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夢と現実の境目って本当ギリギリのラインだと思う。
■■■夢と現実■■■
『それでー・・・その女の人は崖からぴゅーーーっって!!』
「こっこえーーーーーーっっっ!!!!」
お兄ぃがお風呂に入っている間。
TVを見ていたら、久しく携帯が鳴った。
デジタル表示されたのは「タケオ」の文字。
何でも面白い夢を見たからその話を誰かにしたかったらしく、わざわざご丁寧に
電話をかけてきてくれたらしい。
そのまま話し込んでいたら、バスルームのドアの開く音がした。
お兄ぃが出てくる。
と、話もキリが良かったので、そうタケオくんに切り出して
「また明日」と社交辞令を交わして電話を切った。
そうしていると案の定、肩にタオルをかけたお兄ぃが上がってきた。
冷蔵庫に直行してキンキンに冷やしたボルヴィックに手を伸ばす。
「電話誰?」
「あ、タケオくん。夢の話してたの」
「夢?ヘンゼルとグレーテルとか?」
「・・・それ夢じゃなくて童話じゃない?」(笑)
「そうだっけ?」
微妙にボケをかましながら、キッチンから出てくるとお兄ぃは俺の頭をぽんぽんっと
叩いて寝室へと入った。
これは、寝るぞ。の合図。
って寝かせるつもりなんかないけども(笑)
いそいそと寝室へ入ると、すっかりお兄ぃはベッドの中。
でもちゃーんと俺の寝るとこ空けてくれてるんだよねーvv
冷たい布団に足を入れるとお兄ぃがもそもそとこっちに寄ってくる。
あー可愛い可愛いv
お兄ぃの隣に体を横たわらせ、そっと背中に手を回す。
するともそもそもそもそと地道ではあるが、俺のほうへと体を寄せてくる。
風呂上りのお兄ぃはシャンプーの香りでいっぱいで
傍にいるだけで、その香りで体がふわふわしてくる。
同じシャンプーを使っているとはいえ、お兄ぃが使うと俺とは何か違う香りがする。
なんでだ(笑)
そんなことを考えているうちにお兄ぃの体は俺の腕の中にすっぽり。
これはチャーンスっと抱きしめかけた時。
「ZZZZ・・・・」
お兄ぃの寝息が聞こえてきた。
聞き間違えるハズはない。
毎夜耳元で聞いてる寝息だから。
寝ちゃったのね・・・(涙)
いやいいけどさ、無理やり起こしてまで無理したくないし。
頑張るよなぁ俺も(何が)
また今度ね♪とお兄ぃのオデコにキスをして俺も目を閉じた。
「う・・・ん・・・・・」
次に目を開けると外は明るくて、窓から入ってくる外の光がまぶしくて目が覚めた。
「・・・・もう朝・・・?お兄ぃ・・・朝だよー・・・」
と、いつもそこにあるはずのお兄ぃの体を捜すがどこにも見当たらない。
おかしい!
そう思って体を起こし今まで寝ていたベッドを見るが・・・
やはりそこにお兄ぃの姿はなかった。
「あれ・・・?お兄ぃ?」
いつも俺より遅いのに・・・と
不審に思いながらどこに行ったんだ?と考えていると、
サイドテーブルに置かれた携帯が鳴り出した。
携帯こんなとこに置いたっけ?
それもまた不審に思いながらもとりあえず電話に出る。
「もしもし?」
『あっコータ!?よかった!!やっと繋がった!!!』
「やっと?」
電話の相手は潤。
やっと電話が繋がったって・・・
携帯鳴ったの初めてのような・・・。
『とにかく早く外に出てきて!!!ヤバイの!!キリトが!!!』
それだけを告げて電話は切れた。
物凄く焦っているようで真剣みのある声にとりあえず外に出ようと
上からジャケットを羽織って家の外へ出た。
するとそこには目を疑わせる光景が。
玄関を出たそこには、一面に広がる草原。
そしてその先には広ーい水面。
強い浜風が吹き荒れていて、ジャケットを羽織っているのに寒い。
そんな光景が俺の目の前に広がっている。
「なんだ・・・これ・・」
とわが目を疑っていると、数メートル先に潤がいた。
しかもその横にはタケオくんまで。
一体どういうことなんだ!?
と2人のところへと駆け寄った。
「潤くんっタケオくんっ!」
「あっ!コータ!!お前どこ行ってたんだよ!!ヤバイんだよヤバイんだよ!!」
俺が駆け寄り声をかけると潤くんは興奮した様子で俺にそう言い寄る。
一体何がヤバイんだ?!
と思いタケオくんに目をやると、タケオくんはそこからまた数メートル先を指差した。
指先を追ったそこには、白いシャツに黒パンツをはいたお兄ぃが立っていた。
なんだ、お兄ぃいるじゃん。
そう安心したのもつかの間。お兄ぃの立っている場所に驚愕した。
「!?!??お兄ぃぃぃぃいいぃぃいいぃぃぃいっっっ!!!!」
お兄ぃの立っている場所は、広がる草原の端っこの端っこ。
一歩踏み出したその先は目下、荒波が押し寄せる水面。
そう
お兄ぃは崖の先端に立っていたのだ。
たった一歩でも先へ踏み出せば、ポックリあの世へいけてしまう
そんなところへ平然とした趣で立っていた。
吹き荒れる浜風に華奢な体が揺られて、バランスを崩せば
荒波へまっさかさまという状態。
俺は慌ててかけよろうとした。
が、それは簡単にタケオくんによってさえぎられてしまう。
「駄目行っちゃ!キリトこれ以上近付いたら飛び降りるって言ってるんだよ!」
「そっそんな・・・お兄ぃ!!馬鹿なこと言ってないでこっちに戻ってきてよ!危ないよ!!」
信じられない。
さっきまで一緒に寝ていたお兄ぃが自殺しようとしているなんて。
ありったけの声でお兄ぃに叫びかけると
ゆっくり首を動かして、こっちを見る。
「・・・馬鹿なこと・・・か。でもこうでもしなきゃ駄目なんだよ、コータ」
その表情はハンパじゃないぐらい追い詰めてて、目の周りは真っ赤に腫れ上がっていた。
一体どれだけ泣いたんだっていうぐらい。
何事なの!?
ん!?そういやアイジは!?
「どうして!?何で死ぬなんていうの!?」
「・・・・・さぁなぁ。でも俺はもうわかったんだよ・・・何もかも全部」
意味の分からないお兄ぃの言葉に、どう返答していいのかすら迷う。
どう声をかけていいのかすらわからなくて、でも近付いたら飛び降りるっていうし・・・
どうしたらいいんだー!!!
ピルルルルルー♪
ピルルルルルルーっ♪
緊迫したその場に響く、なんとも気の抜けた着信音。
どうやら潤くんの電話らしい。
潤くんが慌てて電話に出る。
『あーもしもし?』
「アイジ!??!お前何やってんだよ!!お前もこっちこい!!」
どういうわけか、電話の相手であるアイジの声まで俺たちに聞こえてくる。
もちろんその声はお兄ぃの耳にも届いていて
アイジの声にかすかに反応をしめたお兄ぃを俺は見逃さなかった。
『えー?何で?』
「キリトが大変なんだよ!!」
『リーダーが??ってか潤くん、恋人ならちゃんと面倒みてあげなよー』
なに!?
恋人!?潤くんがお兄ぃの恋人ってどういうこと!?
アイジは電話越しにとんでもないことを言い出した。
どういうことだよ!潤くんがお兄ぃの恋人って!!俺は!??!?
「そんなことより!!早くこっち来いって!!キリトが死ぬって言ってんだぞ!!」
『死ぬ?』
今まで緊張感のなかったアイジもさすがに、死と聞いて真剣みになったかと
思いきや、その口からは先ほどの発言に続いてトドメの一言が発せられた。
『マジでー?ってか俺たちの関係もうリーダーにバレたんじゃないのー?』
なんですと!?
俺たちの関係?
ってことは・・・・潤くんお兄ぃという恋人がいながらアイジと付き合ってたの!?
二股!?
ウワキ!??!
アイジの言葉がむなしくその場に響いた瞬間、凍てついた時間を溶かしたのは
お兄ぃのあざ笑う声だった。
「ハッ。やっぱりな・・・そうだろうと思った」
「あーた、知ってたの!?」
「俺が気付かないとでも思ってたのかよ。そうか・・・・わかった」
うっすら笑みを浮かべたお兄ぃは何かを決断した
嫌な予感が一瞬ふっと頭をよぎった瞬間。
「じゃあな潤」
そういってお兄ぃは崖から足を1歩踏み出した。
「うわぁぁぁぁああぁぁぁぁあっっっ!!!お兄ぃぃいいぃぃぃっっっ!!!」
「・・・・いっ・・・・お・・いっ!!・・・おいコータっ!!」
「はっ!」
無我夢中で崖へ走り出していた俺は、はっと目を覚ました。
そこには心配そうに俺を見つめるお兄ぃの顔。
お兄ぃ!
お兄ぃぃぃぃっ!!!
お兄ぃが生きてた!!といわんばかりにその体を抱きしめる。
あうー・・よかったー・・・(涙)
「ちょちょっ・・・コータっ!どうしたんだよお前っ!うなされてたぞっ!!」
抱きしめられて苦しいと、お兄ぃは俺から体を離した。
って・・・
うなされてた・・・・?
ってことは・・・
「夢・・・?」
「はぁ?」
「俺・・・夢見てた」
「お前、すっごいうなされてたんだぞ?うなされてる声で目が覚めて、おかしいと思ってたら突然叫びだすし・・・びっくりするだろーが」
そういったお兄ぃは俺にデコピンをかましてまた、布団に入った。
なんだ・・・夢だったんだ?
そ・・・そりゃそうだよな?ははは(ちょっと動揺)
あー・・・もう潤くんとお兄ぃが付き合ってるとか
しかもその潤くんがアイジとウワキしてるとか・・・
そして崖からお兄ぃが飛び降りるとか・・・
やけにリアルで怖かった・・・。
こんな夢をみたのも全部。
タケオくんのせいだ!
この夢はそのままタケオくんの話どおり。
寝る前にあんな話するからだー!!
兎にも角にも、疲れているせいもあるだろうからと俺も再度布団に横になった。
あー・・・・もうお願いだから飛び降りるとかそういうやけにリアルすぎる夢は
御免だよ。どうしようかと思った。
そんなことを考えながら、うとうとしかけた頃に
サイドテーブルに置いてある携帯が鳴った。
■一言■
コータはどうしてもこういうキャラから抜け出せないようです(苦笑)
実はこのお話の元ネタは、妹の見た夢からなんですよ(笑)
こういう夢見たー!って話聞いて使える!と。
凄い夢だなしかし(苦笑)
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