無料-
出会い-
花-
キャッシング
祝い事が嫌いなあーたを
クリスマスデートに誘おう。
■■■クリスマス大作戦 T■■■
今日は12月20日。
クリスマスまであと5日。
町はネオンで色づいてすっかりクリスマスムード。
イルミネーションがそこら中で点灯してて夜に町を歩いても
ちっとも寂しさを感じない。
カップルは幸せそうに手を繋いで町を歩く。
白い息を吐きながら笑顔で会話している。
そんな空気が俺は嫌いじゃなかった。
寧ろ。
そうなりたいと思った。
でも。
「さびー」
「寒いねー」
「お前の着てるコートよこせ」
「それじゃ俺が寒いじゃん」
「俺はぬくい」
「それはあーたの勝手でしょうに(笑)」
俺とキリトはメンバー&身内関係者公認の恋人同士。
カミングアウトした時はそれはもう皆驚いたけど
今となっちゃメンバー内でもう一つカップルが出来ちゃうぐらい。
皆俺達の事を理解してくれた。
だからって別にイチャつくとかそんなのは全然なくて
付き合ってるからって特に大したことは何も無かった。
エッチもしてないしー。
っていうかさせてくれないしー(涙)
元々キリトが人前でイチャつくなんて事させてくれるわけない。
だから一緒に歩いていて手を繋ぐとかそんな事もまずありえない。
だから二人で並んで歩いていても、距離はいつも一定間隔空いていた。
お互いの手はコートのポケットの中だった。
たまにキリトはコートから手を出して、はぁはぁと自分の息を吹きかけた。
コートの中に手を入れてたって、夜の風に吹かれたら
そりゃ冷たいだろう。
「手袋買ったげようか?」
「あぁ?何で手袋?」
「手冷たそうだから」
「いらねぇ」
「買ったげるよ?」
「コートで十分」
それからあーたは息を吹きかけることをしなくなった。
「クリスマスだねー」
「あーそうだっけ?」
「や、町中クリスマスムードだから(笑)」
「俺は祝い事が嫌いだ。行事は大嫌いだ」
「知ってますよ」
「どうでもいいクリスマスなんて」
こんな状況で「クリスマスにデートしよう」なんて云えるワケない。
そうこうしている間に俺の家に到着。
「あー!寒い寒い寒い!!」
「暖房入れてキリト」
「云われなくてもそうするよっ」
鍵を開けた俺より先に部屋に飛び込むキリト。
家を出る前にゲージから出していたリルが足元にすがりつく。
それを抱きかかえて俺はリビングに入った。
あれ?
「キリトー?どこいったのー?」
「こっちー」
「ほ?どこ?」
「だーからこっちー」
「あぁ寝室?」
リビングの暖房はちゃんと入っていた。
でもキリトの姿が無かった。
声だけ聞こえてどこかと思ってキョロキョロしたら
寝室のドアが開いていた。
寝室に向かうと、ちゃんと暖房がそこにも入っていて
TVも付いていた。
ベットにはちゃっかり丸くなったあーたが横になっていた。
「はやー」
「コーヒー」
「俺まだコートすら脱いでないんすけど」
「ミルク無しな」
「はいはい」
TVから目を離さずそういう所は、本当お姫様。
俺はコマ使いかなんかか?(笑)
そうぶつくさと文句を云いながらも、
キッチンに立ってしまう自分が馬鹿だなぁと思う。
ミルク無しで・・・砂糖少な目っと。
何か摘まむものあったかなー。
まぁ後で出せばいいか。
とりあえず俺は暖かいコーヒーを二つ持って寝室に戻った。
「はいコーヒー」
「さんきゅ」
ベットから身体を起こし、コーヒーを受け取る。
ふぅふぅ息を吹きかけて一口二口口にして、ベットサイドのテーブルへ戻した。
「あまーい」
「え?砂糖少な目にしたよ?」
「甘くていいの」
「さようですか(笑)」
「こっち来て」
「ん?」
「こっちこっち」
TVの邪魔にならないように、キリトとは反対側のベットサイドに腰掛けていた俺に
キリトはそういう。
俺はコーヒーを持ったままキリト側に回った。
「なぁに?」
「コーヒーはそこに置け」
「はいはい」
云われるがままサイドテーブルにコーヒーを並べる。
「TVは消せ」
「はいはいはい」
キリトから差し出されたリモコンでTVを切る。
いやあーたが消しなよ(笑)
「お前はーココ」
「はいはい」
そういってキリトは自分の横をぽふぽふと叩く。
あぁ添い寝しろってね。
ベットに入るとやんわりぬくくなっていた。
あれ?あっためてくれてた?もしかして。
「ぬくーい」
「当たり前だ。俺の体温であっためてやってたんだから」
「有難う」
「おう」
「で、どーするの?」
「何が」
「添い寝?」
「そう」
「あ、さようですか」
「何だよ」
「いや・・・・何でも」
「何」
「エッチするのかと思って」
「す・る・か。寝ろ」
「はぁい」
結局今日もエッチは無しね(涙)
何時になったら出来るのやら・・・。
えぇ待ちますよ俺は。我慢すりゃいいでしょ我慢すりゃ(ヤケクソ)
キリトはちょこちょこと俺の方に寄ってきて
きゅうと丸くなった。
これクセね。
「ねぇキリトー」
「んぁ」
「ぶっ・・・何それ」
「笑うな。何だよ」
「いやえーっと・・・」
「エッチはしねぇぞ」
「いや違うから」
「何だよ。ハッキリ云え」
「クリスマスね」
「あぁ」
「どっか・・行かない?」
「いいよ」
「ひゃ?」
「お前こそなんだよその返事」
いやあんまり素直にいいよって返ってきたもんだから
拍子抜けして(苦笑)
「いやほら、行事とか嫌いって云ってたから・・・・」
「お前との事は別だろ。別にいいよどこでも付き合う」
「うはー。あーたからそんな言葉が聞けるなんて」
「有難く思えよ」
「はいはい」
その夜は、キリトと足を挟み合いっこして寝た。
俺の冷たい足をキリトが温めてくれた。
キリトと二人きりで過ごすクリスマス。
果てしてどんなクリスマスになるのやら。
それはまた別のお話。
■一言■
クリスマス前の小説です。ほのぼのが書きたくて。
このお話の続きは300HITリクで書かせて頂く予定です^^
[PR]動画