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寒い夜には
貴方を思い出して居たい。
■■■真夜中の散歩■■■
「散歩行くか」
「夜中の2時ですけど(笑)」
どうしてこう何時もなんでも突然なんだろうと思う。
「うーっ・・・さっびぃっ」
「俺は寒くない」
「嘘でしょ、あーたそれ」
「嘘じゃねぇよ。全然さびくねぇもん」
「さびくって(笑)」
コトの後。
ベットでコロコロしていた時に
あーたは切り出した。
「散歩に行くか」と。
時計の針はすでに夜中の2時を刺していた。
窓から外を見ると
電気の付いている所なんてほんの数えるぐらいしかなくて
木枯らしだって吹いてた。
勿論、止めたけど。
聞くわけも無いんだよね。
そんなわけで夜中の2時を過ぎてから、二人で散歩。
しかもコトの後。
どうなんですかコレ。
ただ別に目的を決めるわけでもなく
テクテクと二人で並んで歩いた。
南ー…か?
多分南に向かってるんだろうと。
コートを着て、マフラーだって巻いてるけど
普通に寒い。
あー
さっきまでは熱いキリトの体を抱っこしてたっていうのに。
なーんでまたこんな夜中に散歩なんて。
そう思ったとき。
さっきまで横に並んで歩いていたハズのキリトの姿が無くなっていた。
「あれ?キリトー」
振り返ると
キリトは数メートル離れたところで俺をじぃっと見てた。
「どしたの?早く行こうよ。寒い」
「嫌だ」
「はぁ?」
「嫌だってんだ」
「急になに?」
「何でもないっ」
どうやら俺は歩き出して10分もしない間に
キリトのご機嫌を損ねてしまったようで。
でも全くもって原因が判らない。
突然横から消えたと思ったら、嫌だと言い出してぷいっと膨れた。
キリトは俺から視線を外してそっぽを向いていた。
「んもー。俺が何したっての?」
仕方なくキリトの前まで戻り、肩からズレ落ちかけていた
マフラーをきちんと首に掛けなおしてやった。
「どうしたの?俺何かした?」
「別に」
「鼻赤いよ?寒いんじゃないの?あーた」
「寒かねぇよ」
鼻のてっぺんを真っ赤にさせて
はぁっと白い息を吐いたキリト。
一体なんでこんな機嫌悪いんだ?
「云ってくれないと判らないって。俺何した?」
「だから別にってんだろ」
そしてまた息を吐く。
今度は自分の両手に向かって。
はぁはぁと暖かい息を手に吐きかけて
ぺしぺしと自分の手でほっぺを叩く。
何度も何度も。
あぁそうか判った。
「手、寒いんじゃないの?」
「・・・・・別に」
息を吐きかける動作に突っ込むと
瞬時にその動作を辞めてしまうキリト。
手をコートのポケットにしまってしまった。
「手出して」
「嫌だ」
「強情だねぇあーたも」
「うあっ」
手を出すように云っても出さないので
腕を掴んで引っ張り出した。
「冷たい手」
「っ・・・」
「指先、氷みたいだよ」
「・・・・」
「手繋ごうか」
俺はキリトの左手を取って手を繋いだ。
そしてそのままその手を自分のコートのポケットに突っ込む。
ぎゅうぎゅうだけど、十分に暖かい。
「反対の手にはコレ」
空いている右の手には
さっきまでポケットに突っ込んでいたカイロを握らせた。
「これで暖かいよね」
「・・・うん」
手を繋いで、並んでまた歩き出した俺たち。
終始会話らしい会話は無くて
ただ、ポケットの中でキリトが何度か手をニギニギしてきた。
「手繋ぎたいならそう云えばいいのに」
「別にそんなんじゃねぇよ」
「こんなに冷たくなるまで・・・強情だねぇホント」
「うっさいバカ潤」
そのまま俺たちは木枯らし吹く真夜中を
テクテクと歩き続けた。
寒いのは寒かったけど
繋いだ手は、暖かだった。
家に着いたのは4時前。
2時間近くも散歩してた。
勿論、俺たちが風邪を引いたのは云うまでも無い。
■一言■
甘々が書きたくて書いたお話です。
手冷たくて、手を繋ぎたいんですが自分からは云えない意地っ張りのお兄ちゃんを
表現したかったんですが…まだまだ精進が必要のようです(汗)
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