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こんな腐った世の中で
「愛」だとか「平和」だとか言ってる奴がもしいたら
俺ならこう言ってやるね。
「無駄な努力だな」って
そう言ってあざ笑ってやるよ。
Dream Play
第1話:「理想郷」
「そろそろ出発しますけど?」
眩しい太陽を遮って俺の目に飛び込んで来たのは
すっかり見慣れた潤の顔。
なんだもう朝か。
「・・・・何時」
「9時26分17秒過ぎました」
「げ。もう9時半じゃん何でもっと早く起こさなかったんだよ」
「起こしましたとも。何回もね」
西暦2033年―――――――――――――――
此処は新都市と呼ばれる地域。
別名『サポーション』。
今から30年前の西暦2003年2月24日
旧都市と呼ばれていたこの場所は 破滅した。
理由は不明で
当てにならないメディアは核爆弾だとかテロだとか曖昧な報道をした。
結局は一体何が原因で破滅したのかわからず
30年たった今もその原因は不明のまま。
当時10万人居たといわれる旧都市の人口は2万人に減り
残ったその2万人が建てたこの場所を新都市という。
とはいえ、30年やそこらで元の旧都市が復興するわけでもなく
そこらじゅうまだまだ瓦礫の山。
当時の海の5分の2が地熱の上昇で陸へと変わり、新都市の周りは
何百キロにも及ぶ砂漠。
新都市に住む2万人はそこから出ることもなく、この新都市のみで
自給自足の生活をしていた。
こんなときに政府がどうしていたかというと
この30年の間に新都市に『ユートピア』というものを建てた。
『ユートピア=理想郷』なんてのはネーミングだけで
中には2万人の人口のうち1万6000人を収容した。
収容。
というか…監禁。
無理矢理監禁した人々を新都市復興の為に労働させている。
実際俺と潤も数日前までユートピアに監禁されていた。
「なぁ潤」
「ん?」
「ココに俺たちの理想ってある?」
「理想ねぇ。少なくともココにはないよね」
「だよな」
「じゃあ出るか」
そういってユートピアを脱走した。
もちろんそう簡単に脱走できたわけじゃない。
脱走者には容赦なくその牙を向ける政府。
ココにいれば必要最低限の生活は保障され、労働さえ怠らなければ
人としての生活は出来る。
でも、ココに俺たちの求める理想はなくて
人気の少なくなる深夜を狙って、部屋を飛び出し
ユートピア周辺に張り巡らされた高いフェンスをよじ登った。
途中見つかって、足を撃たれたり、弾が腕をかすめたりしたけど
とにかく走って走って
何とか振り切った時には外は明るくなっていた。
ユートピアを出たらあとはこっちのもん。
一歩外に出ればそこは新都市。
街中にもぐりこんで、食料や必要なものを予め盗んだ金で
買い込んだ。
そのあと新都市を出て、砂漠へ進み
数日たった今
どれぐらい新都市から離れたかは分からないけど、
それでも夜以外は歩きとおしてきたから
結構新都市から離れただろうと思う。
これで追手がこなけりゃ どれだけ最高なことか。
「キリト。奴らが来た」
「昨日に引き続いて今日もかよ…朝からご苦労なこった」
潤に言われて後ろを振り返ると、迷彩色に塗られたゴツイ車にまたがって
同じく迷彩色に身をまとった政府のイヌが俺たちを探していた。
奴らは世間で言う自衛隊ってのと似てる。
組織自体は彼らと何一つ変わらないが、一つ違うのは
人間を殺すってとこ。
政府のイヌに成り下がったアイツらには
逃亡して政府に立てついた俺たちはただの人形にしかすぎない。
その人形を壊すことに、何の戸惑いもないのだ。
ヤツらは正確には「フルーガル」と呼ばれている。
後始末をするのが大きな役割。
俺たち2人を始末するのに、3台ものゴツイ車で10人弱のお出迎え。
全く持ってご苦労様。
ヒマなのか?って聞き返したいぐらいだ。
「やっぱりコレ外さない限り、俺たちの居場所分かっちゃうみたいだね」
そういって潤が手持ちの銃でキンキンっとこついたのは
二の腕に付けられた赤いチップ。
俺たちが生まれた時から付けられているこのチップは
いわゆる「身分証明書」
ちっこいこのチップの中には俺たちの居場所を明確に知らせる
機能がついていて、いくら俺たちが逃げても
政府のヤツらには手に取るように俺たちの居場所が分かっちゃうって仕組み。
何度も外そうかと努力したけど
意外と頑丈なこのチップはしっかりと俺たちの皮膚に埋め込まれていて
外そうとすれば皮膚まではがれそうなぐらい痛い。
壊そうにも壊せないチップのせいで
逃げても逃げてもフルーガルに追われることになった。
そのたびに相手してきた俺たちはすげー。と思う。
「外そうにも外せねぇんだもんなぁ…仕方ない。俺行ってくるわ」
そういって俺は砂漠のそこらじゅうに埋もれている瓦礫から
姿を見せ、奴らの前に出た。
「M・キリトだな」
「見ての通りだけど?」
「君は重大な罪を犯した。ユートピアから逃亡し現金を強奪、おまけに追手に出した私達の仲間までをも殺した。
よって君にかけられた処罰は死しかない。ここで死んでもらおう」
そういって車の上から俺に銃口を向けるフルーガル。
「悪いけど、この砂漠のクソ暑い中で死ぬのだけは御免でね」
「ご苦労様」
「うぃっす」
「何時見ても見事。あーたのその腕っぷし」
「腕使ってねぇよ」
「ハハッ。確かに」
俺たちが後にしたその場所には
フローガルの動かない体が、無数に横たわっていた。
自分にどうしてこんな能力があるのかはわからないけど
でも、使えるもんは使っとけってやつ?
この能力のおかげでこうやってフローガルから逃げることが
出来るわけだし。
俺たちの理想は旧都市での現実を
新都市で復活させること。
あれは5年前。
ユートピアで自分の部屋のラジオから流れてきた
聞き覚えのない曲に全神経を奪われた。
『〜・・・・2002年、いわゆる旧都市時代に流行したロックバンド
ピエロで・・・・・でした。続いてのナンバーは・・・』
激しいノイズの中で確かにラジオを通して聞こえたあの曲。
どうしても忘れられなくて、旧都市時代を調べたら
ピエロとうバンドの全貌が分かった。
俺と全く同じ名前と容姿を持つ『kirito』というボーカルを筆頭に
『Aiji』『Jun』『Kohta』『Takeo』という5人で成り立つバンド。
『Jun』と呼ばれていたそのギタリストは
今横に居る潤にソックリで…。
年月をかけて調べた結果。
どうやら俺の祖先らしい。
祖先…というか俺が『kirito』の生まれ変わりなんだって。
深ーいつながりのある、そういうのを中心に研究しているやつに
調べて貰ってわかったことなんだけどね。
で、もちろん潤は『Jun』の生まれ変わり。
ってことはさ、残りの3人の生まれ変わりもいるんじゃないかと思って。
可能性はあるだろうから
その3人を探して新都市でピエロを復活させてやろうってのが元々の魂胆。
そしてそれが今の俺たちの理想。
くまなくユートピアを探したが3人に当てはまるようなヤツはいなくて
ユートピアに入らなかった外に住む残りの人口、4000人に的を絞った。
それで…
ユートピアを脱走して、ここまでやってきたってワケ。
ま
本当に生まれ変わりなのかどうかも確信じゃないし
残りの3人がどこで生きて何をしているのかすらも分からない。
でもユートピアなんていう、ネーミングだけの理想郷で
腐ってるぐらいなら、ちょっとぐらい派手に飛んだ
人生送ってみてもいいんじゃないかと思ってさ。
刺激が必要なんだよ。
今の世の中。
■一言■
これは前のサイトから引っ張ってきたので、見た事がある方もいるかも…?
続きが書けないまま放置されていたので、自分に渇を入れるためにもUPして
ちゃんと続き書こうと思います。
頑張るぞー!(意気込)
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