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消えないで。
俺の記憶から消えないで。
■■■vanish■■■
第1話:「始まりは」
寒い冬が来て、クリスマスがあっちゅう間に過ぎて
年末が来た。
「今年も後1時間かー・・・」
「んー」
「早いなぁ・・・・1年」
「んー」
大晦日の夜。
キリトは俺の家に来ていた。
朝方には仕事に出なきゃいけないから
二人で居れるのは年越しの間だけだって事で
仕事上がり後ウチの家に来たと云うわけ。
どこかのカウントダウンに行ってもいいかなぁとか思ったけど
寒いし二人で年越ししたかったから
小さいテーブル囲んで二人でTVを見ていた。
どこの局も特番ばかりで、あと1時間!と騒ぎ立てている。
それを見て、「あぁ本当に今年も終わりかー」なんてしみじみ感じる。
今年何してたかなー俺。
「色々あったねー今年も」
「んー」
「来年も年明けから仕事だけど・・・」
「んー」
・・・・・・・。
「あーたさっきから何すかその生返事・・・」
「んー」
「それそれ(笑)凄いどうでもよさそうなんですけど」
「どうでもいいんだよ」
「さようですか」
「1時間ねー・・・。年越しエッチでもするか」
「は?」
今なんつったこの人。
サラリと何かを云ったキリトは、立ち上がると寝室へと入って行った。
と思ったら出てきた。
その手には、ティッシュ。
「はい」
「へ?ティッシュ?」
ティッシュを箱ごと俺に手渡す。
コレ、ベットサイドのじゃん。
どうするつもり・・・
そうこうしていると、キリトはソファーに横になった。
そして手招きをする。
「何やってんだよ。早く来い」
「・・・あーたまさか本気で・・・・」
「本気で」
「マジっすか。年越しエッチって(笑)」
「いいだろ別に。お前と繋がったままで年越したいんだよ」
うわー。
この人こういう事サラリと云う人だっけ?
何か聞いてる俺のが照れる。
「さようですかお姫様。ではお望みのままに」
なんて云ってるけど、何気に結構一杯一杯だったりね(笑)
まさかイキナリエッチするとは思わないしさ。
ましてや年越しだしさ。
やけに素直っちゅーかなんちゅーか・・・
まぁ素直なのはいい事だけど。
俺は受け取ったティッシュの箱をソファー傍の床へ置き
キリトに覆いかぶさる。
腕はくるりと俺の首へと回された。
「潤。俺の事好き?」
「へ?どうしたの急に。何か変だよあーた」
「いーから。好きかって聞いてんの」
エッチしようたら好きかとか・・・
今日は一体なんなんだ(笑)
「そりゃ勿論好きだよ」
「俺は嫌いだぞ」
「ぶはっ!」
「笑うとこじゃねぇぞソコ」
「いや・・・やっぱいつも通りだと思って(笑)・・・うくくく・・・」
「俺は嫌いだけど、お前が一人で可哀想だから付き合ってやってんだからな」
「俺が可哀想?何で?」
「ベットサイドにティッシュ置くなんざ、淋しい男のする事だ」
「ぶはッッ!!!」
「だから笑うとこじゃねぇって」
「いやだっておかしいもん。俺別に一人でヤってないよ?」
「いーやヤってるハズ」
「どっから来るんですかその自信は」
「前に持った時より、箱の重さが軽くなってる」
「俺だって鼻ぐらいかむっつーに(笑)」
「それはいい訳だ」
何を云い出すかと思えば、俺が一人でヤってるのが
可哀想だから付き合ってくれるんだそうで。
いや一人でヤったりしないんだけどね(笑)
キリトが勝手にそう思ってるだけで。
「そんな可哀想なお前にー、優しい俺が付き合ってやってんだよ」
「うあーやっさしいー」
「だろ?敬え」
「偉そうだなオイ(笑)」
「敬えよ」
「十分敬ってるよ。早くしないと時間来るよ?」
「わーってる」
ふと時計を見たら、年明けまであと45分だった。
トロトロしてる場合じゃないよ。
俺が時間を指摘するとキリトは目を閉じた。
その唇に自分の唇を重ねた瞬間からが最高の一時で、
忘れたくない最高の一瞬でもある。
あーたとの関係だけは絶対忘れたくない。
二人で肌を合わせて、何度も互いのぬくもりを確かめ合った。
途中でベットに移動して、そこでもまた何度も抱き合って。
気がついたら年は越してて、初日の出が拝める時間になっていた。
「潤?」
「はいはい?」
「新年明けましておめでとう」
「おめでとう」
「年越した瞬間に云えなかったから」
「あぁそりゃそうだ。あーた喘いでたもん」
「黙らすぞお前(怒)」
「冗談だよ。今年も宜しく」
「おう」
暖かいベットの上であーたを抱きしめて、柔らかい髪に顔を埋めて寝るのが好きだった。
それはキリトも同じで、
横になる二人の間に距離があると、決まって寄ってくるのはキリトだった。
寒いとか風が入るからとか何かしら理由をつけては寄って来る。
そういうとこも大好きだけど。
とりあえず朝から仕事だし、あと数時間だけだけど
睡眠を取ろうという事で、二人で浅い眠りに入った。
AM:8:00
ピピピピピピピピピッ
ピピピピピピピピピッ
「じゅ・・・んぅ・・・電話ッ・・・電話鳴ってるー・・・」
「んー・・・ぁ・・・」
何時ものお迎えコールが部屋に鳴り響く。
俺はベットサイドの携帯を取って電話に出る。
もうすぐ着くとの事で俺は布団から出た。
「キリトっ。もう下に着くみたいだから起きてよ?」
「う゛ー・・・・ん」
「急いでッ」
まだまだ眠たそうなキリトの身体を何度か揺さぶり声を掛ける。
帰ってくる返事はどれもこれも生返事ばかり。
こりゃ起きないな・・・(苦笑)
とりあえず目を覚まそうとリビングに出て
冷蔵庫からボルヴィックを出し胃に流し込む。
あー喉カラカラだったからなぁ。
「そうだキリトの分」
冷蔵庫からもう一本ボルヴィックを出し
俺は寝室へと向かう。
その途中。
足で何かを蹴った。
「んぁ?」
それは床に放置されていたティッシュ。
「何でこんなとこにティッシュがあるんだ?」
ベットサイドに置いてたハズなのに。
■一言■
長編書き始めました。
まだ一話目なんで全然意味判らないと思うんですが…
これからどんどん潤君の様子がね、変わって行くわけです。
ミステリー系目指したいんですが無理臭い…(苦笑)
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