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クリスマスには
甘いキスと
甘い生クリームで
あーたを彩ろう。
■■■Cream■■■
「でーきた!」
クリスマスイヴの夜22時を回った頃。
俺は自分の家で滅多に…というか作った事もないケーキを作っていた。
イチゴをたっくさん乗せたケーキを。しかもホールで!
勿論それは、愛しいキリトの為。
キリトは個人の雑誌取材で遅くなるらしく、終わったらすぐコッチに直行する約束。
22時までには来るって云ってたけど、来ない所を見ると長引いているようだ。
「ふぅー。ケーキって面倒くさー」
俺は多少イビツではあるが何とか形になったイチゴケーキをテーブルに運んだ。
椅子に腰掛けて葉巻に火をつける。
あー
極楽。
「長引いてんのかなー」
着信はないものかと携帯に目をやるが、着信、メール共になし。
誰かに悪戯電話でもしてみようかな。
「となれば・・・コイツだろう」
携帯を手に取り、ぴぴぴっとヤツのメモリを呼び出し電話をかける。
1コール。
2コール。
3コール。
4コール。
出ないなー。
寝てんのかなー。
なんて思って、電話を切りかけた瞬間、向こうから声が聞こえた。
『潤じゅん!?一体何!?』
「あーうっさいうっさい。声デカイよお前」
『一体なんなんだよー!邪魔しないでよー!!』
電話の相手はアイジ。
電話をかけると云ったら・・・コイツしか居ないだろう。
電話に出たアイジはやけに慌ててるし、落ち着かない様子だし。
一体なんなんだ。
「何?どした?取り込み中?」
『そう取り込みッ・・・コラぁ!タケオ君!ちょっとあっち行っててよー!!』
「あぁ・・・なるほどね」
どう云う事かその一言で丸判り。
なるほどタケオ君と一緒に居るわけね。
それで邪魔しないでよ!か。
「あーアイジ?」
『ちょっと電話してんだけどー!ちょっ・・あッ!』
「アイジ?(苦笑)」
『待ってってば!たけッ・・・んぅッ・・』
「もしもしアイジ?」
『あー潤?』
「んぁ?タケオ君?」
『悪いけど取り込み中だからまた後にしてくれる?』
「うん別に用事ないから構わないけど」
『うんじゃあそう云う事で』
そんな感じで電話終了。
アイジの喘ぎ声だけ聞くために電話したみたいなもんだなこれじゃ。
と思いつつ携帯をテーブルに置く。
殆ど口にしないまま葉巻の火を落として、寝室へ移動する。
「あー・・・遅いなー」
ぼふんっとベットに倒れこみマクラに顔を埋める。
「・・・・眠くなってきた・・・」
今日は昼過ぎからケーキやらの準備でバタバタしてたし
慣れない事して疲れでも出たかなーなんて。
電気もつけていない部屋が更に眠気誘うしなー。
そう思っている間に、俺は眠りに落ちてしまった。
「ゅん・・・・」
「んぅ・・・・」
「じゅん・・。潤っ」
誰かに身体を揺す振られているので目が覚めて
うっすらと重たい瞼を開く。
そこには、待ちわびた愛しい人の顔。
「キリ・・・ト・・・?あれ・・・俺寝てた・・・?」
「ただいま。長引いて悪かった」
「ううん・・・俺も寝ちゃってたから。お帰り」
ベットに腰掛けるキリトの袖を引っ張り顔を引き寄せ、頬に口付ける。
「ん。あ、テーブルの上にあったヤツ・・・」
「・・・あっ!そうだケーキ!俺作ったんだって!」
「やっぱり。スゲーイビツなのな」
「ひどっ。俺一生懸命作ったんすけど」
「先に一口つまんだ」
「えー!一緒に食べようと思ってたのに」
「甘かったよクリームが」
「あーた勝手に・・・・」
「お前味見は?」
「・・・・してない」
「んなこったろうと思った」
「マズかった・・・?」
「ううん」
「ならよかった」
そんな会話の後に、キリトは何を思ったのか俺から離れると
寝室を出て行った。
そしてなにやら抱えて戻ってきた。
リビングから入り込む逆光で何を持ってきたのか判らなかった。
「何持ってきたの?あーた」
「んー。ちょっとイイコト思いついて」
「イイコト?」
「コレ」
そう云って、ベットサイドのテーブルに置いたのは
「・・・・生クリームじゃん」
「そう」
さっきケーキに使って余った分をボールに残していたんだっけ。
キリトはその残った生クリームをボールごと持ってきたのだった。
「どうするのそれを」
「いーから」
一体残った生クリームをどうするのかと思ってたら
おもむろに指で適当にすくって、俺の口許へ持ってきた。
「はい。あーん」
「へ?俺に?」
「そう。食わせてやる。すんげぇ甘いんだぞコレ」
「わざわざ?ひゃー」
「何だソレ(笑)ほら食え」
「じゃあ遠慮なく」
差し出された指に乗った、白くてフワフワした生クリームを
指ごと口に運ぶ。
口内でペロリと生クリームを舐め取る仕草を
キリトはじーっと見ていた。
「うぁ。ゲロ甘」
「だーから云ったろ。お前どれだけ砂糖入れたんだよ」
「結構入れたかも・・・」
「元々入ってんだから追加しなくていいんだよ!」
「そうなの?うあー甘っ!!」
後々口内に残る甘さ。
スゲー甘いよコレ。
なんて思ってるとまた指に生クリームを乗せて差し出した。
その指は人差し指と中指の2本に増えていた。
「何?」
「もっと食え」
「うえっ。もういいよ」
「いーから食え。ほらっ」
「んもー・・・」
差し出された指をまた口内に運ぶ。
舌でペロリと舐め取って見せる仕草をまたもキリトはじーっと見ていた。
「・・・・何?」
「別に。はい」
「だーからもういらないって!」
食べればまた差し出し食べればまた差し出す。
一体何がしたいのあーた!
「いーから食え」
「もういいってば」
「いーから!」
「なんなのあーた・・・もー・・」
食え食えと五月蝿いのでまた生クリームの乗った指を口内に運んだ。
口から出す前に、ちょっとからかってやるかと
口内に入れた指を軽く甘噛みしてやった。
「噛み付くな!」
「いいじゃんそれぐらい!」
「良くないっ」
ちょっとからかったらすぐに怒るんだから。
いやまぁそういうとこも好きだけどさ。
ってか俺ばっかじゃなくて・・・
あーたにも食べさせてやるか。
と、俺の頭によからぬ考えが浮かぶ。
「あーたにも食べさせてあげる」
「えっ?俺はいらねぇ」
「いーから貸してっ」
「あっ!」
キリトの抱えるボールを俺は乱暴に奪い取り
指に生クリームを乗せる。
「はいっ。あーん♪」
「いらねぇってば!」
「だーめ。あーたあれだけ俺に食わせといてそれはないでしょ?はいっ」
「食わない!」
「往生際悪いんだから。食べないなら犯すよ」
「おまッ!・・・・卑怯だぞソレ!!」
「知らないね。犯されたくなきゃ、早く」
「う゛ー・・・」
「無理矢理ヤられるよりはマシでしょ?ほらっ」
「くそっ・・・」
往生際の悪い時にはこの台詞。
観念したキリトは、俺の手にそっと自分の手を添えて
おずおずとその指を口に含んだ。
ぺろりと口内で生クリームを舐め取ったのを感じて
その指で引っ込みかけた舌を絡めてみた。
「ッ!・・・・」
キリトは俺の手を掴んで引き抜こうとするが俺がそれを許さない。
くちゅくちゅと音を立てて、指で口内を犯していく。
次第に顔が赤くなってきた。
「・・・んんっ・・・んっ」
口内で蠢く舌は次第に激しさを増して、キリトの息遣いが荒くなってきた所で指を抜いた。
指と唇を唾液が糸で繋いだ。
「はいっ。ごちそうさま」
「・・・はぁッ・・・・・絶対やると思った・・・・」
「あぁバレバレ?」
「ったりまえだ!だから嫌だったんだよ!」
「でも美味しかったでしょ?生クリーム」
「甘いってんだろ!」
「何?まだ足りない?」
キリトの話なんか聞いてやらないで、また指の腹に生クリームをたっぷり。
「はぁ!?」
「キリトサンはまだ足りないんですかー」
「違ッ!!」
「指程度じゃ満足しないんですねー」
「潤ッ!!!!」
「じゃあ満足させてあげましょう。そうしましょう」
「んッ」
「たーっぷりドウゾ。これでいつもより甘いんじゃない?」
キリトの唇にたっくさん生クリームを塗りたくって
その上に自分の唇を重ねた。
舌を滑り込ませる瞬間に、一緒に生クリームが口内に流れ込む。
自分でやっといてアレだけど
普通に吐きそうなぐらい甘い。
「んーっ!」
じたじたとキリトは暴れてたけど、やめてやるもんか。
遅れてきたんだから、これぐらいさせてよね。
「・・・・っふ・・」
重なる唇の隙間からたまに漏れる吐息がヤケにエロイと感じるのは俺だけだろうか。
何時の間にかその手はきゅうと俺の服を掴んでいる。
リードされて必死についてこようとする、おぼつかない舌の動き。
眉間によった皺。
苦しそうな表情もたまに見せるけど。
歯列をなぞって、ゆっくり舌を絡めるとピクリと反応する身体を見てると
満更でもなさそうじゃない。
俺の服を掴む手に力がこもり始めたのを、横目で見て
俺は名残惜しそうに唇を離す。
途端に熱い吐息が唇に触れる。
「はぁッ・・・はっ・・・じ・・ゅん・・」
「嫌がってるようには見えないよその顔は」
「馬鹿ッ・・・。甘すぎるんだよ・・・」
「クリスマスプレゼントね今の」
「んぁ?!卑怯だぞお前!」
「何がー?俺は一生懸命ケーキだって作ったのに、あーたは何もくれないじゃない」
「うっ・・・・」
「本当はあーたの欲しい物買ってあげようかと思ってたけど。辞めようかなー」
俺が上の空を向いてそう云うと、キリトは俺の服を掴んだまま
悔しそうに睨みつけてくる。
そんな顔しても駄目ー。
「今のがプレゼントなんて認めねぇからな!」
「あーたがそう云っても俺はそう思ってるから」
「嫌だ!!何かよこせ!!」
「いやあーた図々しいから(笑)」
「じゃあ・・・・どうすればいいんだよ」
「・・・・判ってるんじゃないの?」
「ッ!!お前ー!そんな顔するから鬼畜だって云われんだぞ!!」
「余計なお世話だっつーの(笑)」
まぁ俺が欲しい物なんて限られてるし。
キリトだってそれを分かってるハズだからあえていじめてんだけど。
「で?どうすんの?俺にプレゼントは無し?」
「お前こそ図々しいぞ!」
「あーいいですよ別に。そっかー、キリトサンはコイビトの俺にプレゼントすらくれないんだー?」
「!」
「愛してるって云ってくれたのは嘘だったんだー?」
途端に顔をほんのり赤らめて見せる。
もうちょい。
「何時だっけなー。俺の下で喘いでもっとぉなんて。アレは演技だったんだー?」
「じゅッ!!」
「可哀想な俺ー。それとも鬼畜で図々しくて卑怯だから何もくれないのかなー」
「潤ッッ!!」
「これはもうクリスマスにお別・・・」
「判った!!!!!」
待ってました。
「・・・・・・やるよ。プレゼント・・・」
「そうこなくっちゃ」
俺はきゅっと自分の襟元のボタンを外すとキリトをベットに押し倒した。
「・・・・・野獣。猛獣。ケダモノ」
「なんとでも。あーたが云ったんだからね?プレゼントくれるって」
「そういうとこが卑怯だってんだよ!」
「聞こえなーい。どうして欲しい?生クリームだらけにしたげようか?」
「ばッ!!!俺がそういうの嫌いなの知ってんだろ!!」
「知ってますとも。あとでちゃんと洗ったげるから」
「いーやーだー!」
「プレゼントは黙って貰い主のご機嫌取りしてて」
「お前ッ!ムカツク奴だなー!!」
「嘘。あーたがプレゼントで嬉しいよ?俺」
「ッ・・・・・・だから・・どうして急にそう云う事・・・」
不意打ちに弱い事ぐらい
長年一緒に居ると分かってくるもんですよ。
「後でちゃんと洗ってあげるから。約束する」
「・・・・・ヤダ」
「約束するってば。絶対気持ちイイって」
「そういう問題じゃない!」
「俺の事愛してるなら、してくれるよね?」
「セコッ・・・セコイんだよ!!」
「それとも何?俺の事愛してないんだ?」
「・・・・サイアク」
「褒め言葉を有難う。すぐに昇天させたげるから。何回イキたい?」
どうせ云っても聞きゃしないだろう。
だから勝手に事を進めさせて頂きます。
首筋をペロリと舌でなぞるだけで、身体がピクリと反応する。
こりゃさっきの生クリームキスが効いてんな。
「ッぅ・・・ん・・・そう云う事聞くなッ」
「クリスマスだし・・・25回ぐらいしちゃおうか」
「出来るか!!馬鹿!!」
「頑張るよー俺」
「無茶云うなー!!!」
「もう黙って。体力温存。OK?」
「ちっともOKじゃなーい!」
そんなこんなでグダグダと始まったクリスマスイヴの夜は
俺たちのようにグダグダと深けていくのでした。
結局、25回なんて朝までには到底無理で。
5回でギブでした。
勿論俺がじゃなくて、キリトがね?
■一言■
クリスマス小説と云う事で潤キリです。
んーと…本当は最後まで書く予定だったんですが…
折角なんで止めてみました(笑)
続きもしかしたら書くかも・・・?
んなわけでメリークリスマス♪
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