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この世に本当に惚れ薬なんてものが実在したら
一度あーたに飲ませてみたい
なんて思った。
■■■BE エントランス■■■
「大好き」
「はぁ!?」
ことの始まりは楽屋で。
『アイラヴマイペット』なんていう雑誌を読みふけっていた俺に
タケオくんが怪しいモノを持ち寄ってきた。
「潤。お前、前にさキリトが素直じゃないとかどうとか言ってたよな?」
「は?えっ?あっあぁ何かそんな話もしたような・・・」
突然そんな話題を振られて戸惑う俺に、タケオくんはちっこい瓶を手渡した。
「コレ、かなり効くから一度キリトに飲ませてみ」
「何コレ?」
「まぁ飲ませてみればわかるよ。即効性の薬だから」
「・・・ふぅん。タケオくんは試したの?」
「まぁね」
なにやら2人でコソコソと話し込んでいると向こうからアイジがタケオくんを見つけて
猛ダッシュしてくる。
「あー!潤くん、タケオくんと何話してんのさー!」
そういってタケオくんの背中にダイビーングっ。
「あーはいはい。なんでもないから向こう行こうなー」
と、アイジの頭をがしがしと撫でたタケオくんは目で「使ってね」と合図をして
アイジと向こうへ行ってしまった。
いつみてもラヴラヴだなぁと思う二人。
アイジなんてモロに「タケオくん大好きー!」ってみてて分かるし
タケオくんも人前ではそんなに表に出さないけど、さりげなくアイジのこと気にかけてるみたいだし。
理想といえば理想的な2人。(バカップルだけど・・・/禁句)
一方俺たちは?
というと
「おいこら!バカ潤!!」
これだよこれ・・・。
あーた仮にも恋人にバカはないでしょう、バカは。
プライドの人一倍高いキリトが人前でラヴラヴしてくれるわけもなく・・・
2人きりでもなっかなか素直にならないのに、タケオくんとアイジみたいに
全身でラヴラヴするのは無理に等しい・・・。
そんな話を以前タケオくんにしたことがあって
それを思って、こんなモノくれたんだと思うけど。
まぁ折角だし使ってみるか・・・
と、早速キリトを家に招き、寝る前にキリトが飲み干したミネラルウォーターに
タケオくん御薦めの薬を混ぜてみた。
何も気付かずにキリトが飲み干したところをみると・・・
色にも味にも変化がないらしい。
「じゃあ寝るか」
とキリトは何事もなかったようにベットへと入る。
続いて俺もベットへ入った。
「じゃあおやすみ」
「はいおやすみ」
って違うって。
何も変化ないの?
おやすみって。何のために飲ませたかわからないじゃん(笑)
「ねぇキリト?」
「何?」
「何かさ、こう・・・・おかしいとこない?」
「・・・お前の頭」
「いやそうじゃなくてさ(笑)」
「なんだよ?」
「何かほら・・・体が熱いとかどうとか・・・・」
「俺は別にエッチしたくねぇぞ」
「そんな事聞いてないから(笑)」
あまりに普通でいつもと変わらないキリトの様子に
タケオくんにだまされたかなぁと
薬に疑いを持ち始めた時・・・・
「・・・・・・あれ・・?」
ん?
キリトが何やら顔をしかめ始めた。
まさか
効いてきた・・・?
「ど・・・どうしたの?」
「なんか・・・頭がぼんやりしてきた・・・」
頭がぼんやりって・・・
本当に大丈夫なのかなこの薬(汗)
キリトは眉間を押さえながら目を閉じ暫く何も言わずうつむいたまま。
どうなるんだろうとハラハラドキドキしていると
キリトははっと目を開き、体を起こすといきなり俺の上に跨ってきた。
「??」
その目はしっかりと俺を見ていて、跨った体を支えるために
胸の上に両手をつく。
「キリト・・・?」
「大好き」
「はぁ!?」
普段絶対に言わない台詞。
思わず自分の耳を疑った。
「なぁ潤、大好き。愛してる」
「ええっっ!?!?」
好きだけじゃなくて愛してる!?
この言葉なんか今まで数えるぐらいしか言ってくれたことなかったのに!
(しかもどれも俺が無理やり言わせた感120%)
「潤は?俺のこと好き?」
「ももっっもちろんです!」
あまりの薬の効き目に思わずどもる。
首をかしげながらそういったキリトは、胸につい立てていた手をするすると動かして
俺のシャツの中へ滑り込ませてくる。
冷たい指が肌に触れた瞬間思わず目を閉じた。
いつもと違うキリトの雰囲気に何故か顔が熱くなった。
「やろう?やりたい今すぐ」
そういってはだけさせた胸元に顔を埋めて唇を押し当てる。
薬のせいとはいえ、全く立場がいつもと違う。
普段なら絶対自分からやりたいなんて言わないのに。
俺の反応をうかがうように上目遣いで胸元から見上げてくる。
ヤバイヤバイヤバイ
こんなに薬の効き目あるなんて聞いてないよタケオくん!!
「っ・・・ちょっ・・キリト・・・」
「何?お前はやりたくないの?」
「そっそうじゃないけど・・・」
でもなんだか、薬が効いてくるにつれて自分が悪いことしてるみたいな
衝動に駆られるのはなんでだ?(汗)
なんかこう・・・・
騙してやってる感じがして・・・
いや実際薬の力借りてるから、騙してないっていったらウソになるんだけどさ
「じゃあいいだろ?やろうよ。やりたい・・・潤のが欲しい」
でも!!
こんな目で見られてこんなこと言われて
どこのどいつが我慢できるっていうんです?
御免なさい、次からこんなことはしません。
でも今日だけは!1度だけ夢を見させてください。
「いいよ。やろう?俺のを満足するまであげるからさ」
そういって俺はキリトの体を押し倒しベッドに組み敷いた。
いただきます。
とキリトの首元に顔を埋めた瞬間。
ばっしぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいいぃぃいぃぃいいんんっっっ!!!
「いっでぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!」
突如響き渡る轟音と俺の叫び声。
そして轟音と共に俺の頭には激痛が走った。
「はったおすぞコラァ」(怒)
キリト!?
今のもしかしてキリトがやったの!?
いつものチョップ!?マジで!?何で!?
状況のイマイチつかめていない俺に、キリトは鬼の形相で体を起こすと
俺の胸倉を掴みあげる。
「なななっなんでっ!?なんでキリト!?」
「何でもクソもあるか!お前ぇ・・・薬の力借りてどうこうしようなんて甘いんだよ!」
「なっ!!なんで薬のこと!!」
何故かキリトは薬のことを知っていて・・・
効いていたと思ってた薬の効果は全くキリトに効いていなかったようだ。
「アイジに聞いてたんだよ。『今夜あたり薬飲まされるかもだから、気をつけて』ってな!!
まさかと思ってたら・・・このやろう・・・ホントに飲ませやがって!!」
アイジのやつー!!!
なんで余計なこと言うんだよ!!
折角のタケオくんの薬が無駄になったじゃないかー!!(涙)
しかもキリト激怒ってるし(泣)
「ごめっ・・・御免なさいー・・・」
とにかく今は謝るしかない。とキレるキリトをなだめながら、ご機嫌を取り続けた俺。
結局キリトは、それから1週間まともに口を聞いてくれなくて、
愛してるとか好きとかいう以前に、顔すら見てくれなくなってしまった。
教訓。
薬の力に頼るのはよしましょう。
でもどうしてキリトに薬が効かなかったのか。
それはまた別のお話。
■一言■
御馴染みの薬ネタですが、120%ギャグ仕様です。
続きがまだあるのでそれはまた別のお話で。
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