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こんな時
相手の心が覗けたら
どれだけ楽かと思う。
Superfluity
第1話:「関係」
「ねー」
「ん・・・?」
「ねー」
「何だよ」
「俺の事好き?」
「はぁ?」
それは諸事情の後のベット。
まだ熱いぐらいの身体を二人並んで横たえて
俺は問う。
「ねー、俺の事好き?」
「・・・」
「何か云ってよー」
「ヤダッ」
「酷ー!好きかどうかぐらい云ってくれてもいいじゃん!」
「俺らそんな関係じゃないだろーが」
俺とキリトは別に付き合ってはいなかった。
じゃあどうしてSEXするのかって?
「そりゃそうだけどさ・・・」
「互いの性欲処理の為だろ。それが条件だ」
「うん・・判ってるけど・・」
そう。
俺達は契約で結ばれただけの関係。
互いに彼女とのSEXでは物足らず、更に先を求めた上での状況。
始めに云い出したのはキリトだった。
「なぁ。彼女いんの?」
「何突然っ」
「いんのかって聞いてんの」
「い・・ると云っちゃいるけどさ」
「ふぅん。エッチは?」
「そりゃそれなりに・・・」
「満足してる?」
「・・と思う」
「俺はー、今のエッチだけじゃ物足りない」
一体何を云い出すのかと思った。
キリトに彼女が居る事は、随分前から知っていた。
何度か家に行った時にも顔を合わせた事があった。
そりゃ一つ屋根の下に男と女が居て
ましてやそれが恋人同士なら
事に及ばない方が変だ。
だから二人に身体の関係があってもおかしくはなかった。
でも俺は
それを自分で理解した時に
どうしようもない焦燥感に駆られて
胸が苦しかった。
だからキリトが
「俺とエッチしない?」
と話を持ち出した時、少なからず心が弾んだんだ。
契約はこうだった。
あくまでこれは、互いの性欲処理の為である事。
更に先の快感を求めるだけの行為である事。
勿論、お互いの相手には秘密。
そしてもう一つ。
私情に流されない事。
多分キリトは
俺の不確かで小さな感情に気付いていたんだろうと思う。
だから相手に俺を選んだんだ。
自分でもまだハッキリとは確信出来ていない感情に
拍車をかけるように話を持ちかけた。
でもそれは俺の感情を肥大させる為でも
俺の為でもない。
寧ろ、その感情を打ち消させる契約だった。
その感情を挟み込ませないように。
だから最後の条件で「私情に流されない事」と云うのを付け加えたんだろう。
でもそれはただの蛇足にしか過ぎなかった。
キリト・・だけではなく俺もが考えて居た程
その感情は容易い物でも小さな物でも無かった事。
その証拠に
肌を重ねる度に俺の感情は高ぶっていった。
「でも俺は・・キリトが好・・」
その感情を言葉にしようとしたら
唇で塞がれ行き場をなくした。
「それは云わない約束だろ」
「ッ・・」
じゃあなんだ。
俺は気持ちをいつまでも伝えられないまま
この言葉を宙ぶらりんにしたまま
生きていかなきゃいけないの?
好きぐらい、云わせてよ。
「じゃあどうして俺を選んだんだよ。潤君でも誰でも良かったのに」
それは自分でも判りきった事。
この感情を押さえ込ませる為だ。
「判ってるんだろ。お前じゃなきゃ駄目な理由ぐらい」
そう云われて俺は何も云えなくなった。
***
それから何日かして、
仕事帰りにまたキリトに誘われた。
ここ数日毎日のように互いの家で事に及んでいる。
それは、彼女とのSEXでは物足りないとか
その程度で云い表せる回数では無い。
事実、事情中のキリトは回数を重ねる度に
やる事がエスカレートしていって、俺でもついていけないぐらい。
何回やっても物足りないという。
幾ら果てを見てもまだまだだという。
俺にも何が何だか判らなくて、
でも、自分の感情に嘘は付けずそれに付き合ってしまう。
エスカレートしていったのは、満更キリトだけではないのかもしれない。
いつものようにどちらの家に行くか車の中で決めて
今日はキリトの家に決まった。
相変わらず殺伐とした部屋。
人の住む気配など微塵も感じさせない無機質。
でも俺はここが酷く好きで、落ち着く場所だった。
「シャワーどうする?」
キリトはそういうと、徐にシャツを脱ぎ捨て上半身裸になる。
「んー俺はいいや」
「そか。じゃあ俺入るから先にベット行ってて」
云われるままに寝室に向かう。
寝室には当たり前のように避妊具とローションが置いてあった。
ベットサイドにきちんと。
彼女とのSEXに使う為に買ったんだろうと思ったら、
どうやらそうではないらしく、俺との事情の為に買ったらしい。
彼女とのSEXには使わないの?と聞いたら
元々中にも出さないし最近は互いに疎遠になって、SEX自体しないそうだ。
それを聞いた時。
じゃあ俺との関係は一体何なんだ?
と思った。
今の彼女とのSEXが疎遠になったなら
別の女でもとっ捕まえてきて
SEXすればいいだけの話。
SEXの上手い女何て、夜の繁華街にでも赴けばザラと居る。
自分の好みにあったSEXがしたいならそういう店に行けば良いのに。
どうして今更俺なんだ?
そんな事を考えていると
何だか頭がぼんやりしてきて、重たくなってきた。
とりあえず、上着を脱いで広いベットの隅へ置いた。
ベットにその身を投げると、頭は益々重たくなって
自然と眠気が襲ってくる。
これからまだやらなきゃいけないのに。
そう思いながらも眠気には勝てず
俺は目を閉じた。
■一言■
やっとこさアイキリです!
タイトルの「Superfluity」は「不必要な」とか「余分な」と云う意味です。
まぁ何が余分なのか、何が不必要なのか。
それは今後明らかに!?
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